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2021
3/15
maxmorick さん
満足度 4.5
鍛造生酛 強力純米 28BY。
強力に拘りのある日置桜の山根さんが、特に内田さんという米農家の方が作る強力を使って醸した生酛純米だけを「鍛造・たんぞう」としてリリースされているお酒です。
鉄を成形する時に、溶けた鉄を鋳型に流し込んで冷やし固める方法を「鋳造・ちゅうぞう」と言います。一方熱い鉄の棒をハンマーで叩いてカタチにしていくのが「鍛造・たんぞう」です。よく時代劇とかで刀鍛冶がカンカンやってるやつですね^ ^ 叩いていくことで鉄の粒子は同一方向に整い、強度も美しさも増していきます。だから鉄を叩くことを「鍛える(きたえる)」と言います。型に流し込む鋳造の方がカンタンで大量生産できますが、そうすると粒子の方向はバラバラで、鍛造に比べて脆く艶のない塊になります。因みに私は鉄鋼関係者ではありません^^; 昔ゴルフクラブメーカーさんと仕事をしていて、アイアンの製造法として鍛造・鋳造の違いを覚えました。ゴルフをする人なら分かると思いますが、軟鉄鍛造アイアンは鋳造のものに比べて精度が高く非常に打感が良いので、芯を喰った当たりの気持ち良さは格別です♪
…っと話が完全に脱線しましたが、山根さんが内田さんの作る強力を特に「鍛造」と名付けたのは、そういう鍛えられたものの良さを表現したかったんでしょうね^ ^
さて、まずは冷やで一杯^ ^ 分かりやすく黄色い液体。鼻を近づけるとしっかり熟成香。ところが口に含んでみてビックリ!ピーン!とテンションの掛かった感じ?とてもクリアな旨味。もちろん芳ばしさもあるけど、このクリア感に驚きます。そして本命は熱いの^ ^ おー軽い!生酛らしい程よい乳と、ブワッと膨らむ米の旨味をしっかり感じさせつつも重さが欠片もない。熟成生酛って行き過ぎるといろんなものが削げちゃって、でもそれはそれで枯れた感じがまた良いなーなんて思ってましたが、これはちゃんと米旨味を喉に張り付けておきながらの軽さ。それが何とも緊張感のある味わいになってるというか…ちょっと上手い言葉が見つかりませんが^^; こういうお酒もあるんだなぁ〜。凄いです。
6日目。
50℃くらいの熱燗。いやー旨い^ ^ 舌に軽いピリ感。何とも言えぬ芳ばしさ。甘辛中庸で旨味がフワーッと♪ そして相変わらず軽快な口当たり。山陰のお酒だなぁ〜という感じ。これはその中でも独特な軽くて強いお酒ですかね^ ^
さらに2週間後。
あ…上燗うめぇ〜^ ^ 濃い米旨味に似つかわしくない口当たりの軽さ。口開けからずーっとそうでした。このお酒はちょっと凄いなぁ。軽く、しなやかで強い。鍛造と名付けた意味が良くわかる気がします。他のお酒にはない魅力を感じました。
実はこの強力を作っていた内田さんが(たぶん)ご高齢を理由に29BYで米作りをやめてしまったので、鍛造生酛という商品も29BYが最後の造りだそうです。ただしお酒の出来の具合で29BYは既に販売されており完売とか。そうすると、この28BYの鍛造生酛が、残る最後の内田米ってことになりますね。農業従事者の高齢化問題は、確実に日本酒にも影響しているんだなぁと思います。特定名称 純米
原料米 強力
酒の種類 生もと
日置桜 (鳥取 / 山根酒造場)
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たびすずめ 2021年3月16日 11:58:16
これは美味しそうなお酒ですね。
強力のお酒はまた飲んでみたいなって思います(^_^)
農家さんの高齢化かぁ。難しい問題やね。
梨の農家さんも減ってるらしいし。 -
maxmorick 2021年3月16日 12:22:47
工芸品なんかもそうですけど、拘りと情熱がないと受け継ぐことの出来ないものって、残していくのは大変ですよね。そう考えると、まだ日本酒業界は恵まれてますね^ ^
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