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2021
3/16
wajoryoshu さん
満足度 4.5
王祿*** 純米吟醸 原酒 封印酒 1993 雄町58%
ウイスキーの世界でもなかなかない超稀少な長熟もの。1993年醸造直後は約1年半密閉型2重タンクで+5度保管。その後1升瓶で常温瓶貯蔵約1年。この封印瓶に詰め替えて常温瓶貯蔵を経て、2019年1月蔵元を出荷。特約店にてー5度保管約2年。乳白色のボトルに入っているのだが、光に透かすとビール瓶くらいの茶色に見える。四半世紀超の時を刻んできたのかと思うと感慨深い。
封印を解き放つ!
グラスに注ぐと、意外にうすい琥珀色(画像は少し濃い目に見えるけど)。さすがに優しい熟成香で、蓬莱泉の空十年熟成酒を思わせるが、こちらの方が入り口は優しいが、残り香には重厚な余韻を感じる。味も同様、28年ものと構えて呑むと拍子抜けするほど入りは優しく繊細(これはまだ冷たい状態だったから)、それでも余韻には通常の日本酒にはない広がり、奥深さがある。
やがて販売店店主おすすめの常温になり本領発揮。熟成酒特有のカラメル甘苦がダイレクトに感じられるが、ほんのり優しい。舌の上でじっくり時間をかけて転がしても、雑味とか、角とか、アルコールの棘らしきものは一切感じない。ゆるく燗につけてみるとなお良しだが、やり過ぎは禁物。この酒の一番の醍醐味は口にあるうちは顔を出さない強烈な個性が余韻として感じられることだと思う。
ウイスキーの熟成は色の三原色のようで、様々な味わいが重なり合い益々複雑味が増して円やかになり、最終的にはプラスが重なり黒になるイメージ。日本酒の熟成は光の三原色のようで、様々な雑味が徐々になくなり研ぎ澄まされ、最終的にはマイナスが重なり白になるイメージで、そのほとんどなくなった色の欠片を大切に膨らませ熟れさせてきたように感じる。
そういえばオフィスの近くに、自然酒の熟成ものだけをこだわりの燗酒でしか出さない店があった。日本酒を呑むようになって間もなかったのでその後再訪していなかったが、行きつくところは其処なのかもしれない。そしてきっと奥が深すぎて抜け出せない気もする。いつも呑んでいる日本酒とは別物としてまた少しだけ酒の幅を広げたい気持ちもあるが、こちらは今しばらく封印しておきたい。特定名称 純米吟醸
原料米 雄町
酒の種類 古酒
テイスト ボディ:普通 甘辛:普通
王祿 (島根 / 王祿酒造)
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wajoryoshu 2021年3月16日 20:47:58
ポンシュケさん いえいえ、こちらこそ素敵なコメントをありがとうございます。 最近よく熟成物を買っている店で、幸運にも貴重なお酒を分けていただけました。
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wajoryoshu 2021年3月16日 20:48:18
スズ生酛さん、ありがとうございます。 さすがにこれだけの時間を経ているだけあって、開栓後もほぼ変わらずです。 明日、日本酒仲間にも振舞うつもりです。
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