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2021
12/25
しろこさん
満足度 4.0
酒屋で「町田酒造の酒粕」を発見。
季節の物で飲むシリーズ、ここは「酒粕で酒を飲む」究極の冬飲みを!やらねば!と、大鍋を出してくる。
子どもの頃、母親が寸胴なべにたっぷりの粕汁を作っていて、3日ぐらい続けて出てきていた。妹はあまり好きじゃなさそうだったけど、私は大好きだった。
特に、2日目以降のとろとろに煮崩れたところに、こんにゃくだけ頑張ってる食感とか、部屋いっぱいに漂う甘いほかほかの匂いとか。
母が亡くなってから、初めて作る。
具は大根、にんじん、こんにゃく、薄揚げ、豚こま。妹が「ちくわも入ってた」と言うので入れてみたけれど、うーん、これだけは記憶になかったような。
母親レシピ通り、あごだしの袋を多めに入れて、しっかり出汁を取る。具が煮立ったところに、味噌と酒粕を入れてあとは醤油で加減する。
鮭で作る派の方が多勢ながら、豚こまの脂が酒粕の甘みと混ざってうっとりさせてくれるので、私は圧倒的に豚肉派。
そして冷えた酒粕と格闘する。
ぬくめただし汁をかけて揉んで崩して、さらに味噌こしでぐりぐり溶かす。ちょっと次の用事が迫ってきて焦る。
さすが、お酒を搾り出して残ったカチカチの酒粕たち、連帯感がハンパない。
やっと溶かした町田酒造の酒粕、酸が強い気がして味がなかなか決まらなかったが、やっと完成。
……わかってるんです!
町田酒造の酒粕で作った粕汁を、町田酒造で飲むのが味的にもネタ的にも「おいしい」ことは!
でも、ちょうど新酒が出る直前のタイミングで、入荷していない。
そしてあのフレッシュ&フルーティな町田酒造より、滋味あふれる落ち着いたお酒の方が粕汁には合うんじゃないの?と、「田光」の残りと量り売りで買ってきた「無窮天穏 斎香 生もと純米吟醸」を注ぐ。
天穏、すっと飲ませる割に唸らせる複雑さがあってどれも美味しい。フルーティ系が好きだけど、間に必ず挟みたくなるお酒。
2日目のとろけてきた粕汁と、ぬるめの天穏。
うっとり。
ただ一つだけ。
去年の今頃は生きてた母親に、聞きたかったことがある。
……こんにゃくって、どうやって切るのが正解なん?
幅と長さと厚さの混乱したこんにゃくを大量生産しながら、途方に暮れる。台所から電話すると、笑いながら教えてくれた人はもういない。
会いたいなぁ。
特定名称 純米吟醸
酒の種類 無濾過 生酒 生もと
テイスト ボディ:重い+1 甘辛:普通
天穏 (島根 / 板倉酒造)