酒蔵をかまえる大阪府河内長野市の天野山金剛寺にちなみ、名づけられた銘柄「天野酒」。室町時代末期から大名に愛されてきたお酒を「僧房酒」といい、なかでも一級品として愛されたのが「天野酒」といわれている。「僧房酒」とは各地の寺院で、僧侶によって作られた酒のことを意味する。豊臣秀吉も嗜んだとされており、大阪の酒造りの歴史のなかで「天野酒」は重要な存在だ。一時期は「天野酒」は作られなくなったが、昭和46年に天野山金剛寺と地元の人々の応援により、復活。今では大阪の地酒の一つとして、愛されている。酒を醸すのは、南部杜氏。高品質な酒米を自社で高度精白し、手間をおしまず一滴一滴を丁寧に醸す。第十代蔵主の西條陽三氏は、昔からの味を守りながらより高品質な酒をめざし、今では「純米造り」に秀でた蔵元として高く評価されている。「天野酒 大吟醸」は、山田錦を40%以下まで精白し丁寧に醸したお酒。大吟醸らしい華やかな香りとコク、キレのある後味が特徴だ。