1915(大正4)年創業の阿武の鶴酒造は自社醸造休止をし、酒造りを外部委託することで販売のみを行なっていた。造りを再開したのは、休止を決定した桂太郎さんの孫にあたる6代目・三好隆太郎氏。東京の大学を卒業後、内装デザインの仕事をしていたが、“もっと人々に近いものづくり”と模索する中で酒造りに思い当たり、2008年に退職し全国の酒蔵4軒で修業を積んだ。2014年に34年間酒造りがストップされていた実家に戻り、2016年に醸造を再開、2017年4月より自社醸造を開始した。 その際立ち上げたのが自らの姓を冠した「三好」という銘柄である。酒づくりに大切な「麹・米・水」の3つ、そして「売り手・買い手・消費者」の3つという要素がよく調和するようにと願いをこめてつけた。White、Green、Blackと味わいに応じて色の名前がつけられているが、いずれも冷酒がよく合うお酒だ。また「SAKE COMPETITION」で「三好の冬」が、ラベルデザイン部門にて2位を受賞。2年連続の受賞となった。区別の仕方、ラベルデザインともに日本酒初心者にもやさしく手にとりやすい仕様になっている。(関 友美)