旬のものを、ちゃんと食べるようにしている。春は空豆がスーパーに並ぶと、連日買ってしまう。
一房に3つか4つ、大きいのが入ってるのが好き。グリルで丸焼きにすると、中で蒸し焼きになって甘みが増す。
ただ、この日はしらすもあったので、空豆をむいてゆでて、薄皮を取って……と手間をかけて「空豆としらすの混ぜごはん」を作る。
空豆が多かったので、台所で飲みながらつまみ食い。
冷蔵庫に余ってた長芋の使い道に、この間お店で食べて美味しかった「長芋と厚切りベーコンのバター焼き」も作る。長芋の切り方、ちょっと変えるだけで食感が変わるんだな、と覚えた。
食卓に並べると、お昼ご飯のはずがすでに酔って晩酌モードに。
今日のお酒は、ふらっと入った酒屋でお店のおばさんに勧められた鳥取の地酒「鷹勇(たかいさみ)」。わざと、少し大きめのグラスに多めに入れる。
冷えたまま飲んでも米の旨みが立って、日本酒らしい幸せを感じるお酒。
でも、ゆるゆると常温になる変化を楽しんで飲んでもおいしい。角が取れて甘さが溶け出してくる感じ。
テレビやネット広告では「母の日」の宣伝がやたら目につく。
毎年、この時期になると妹と競うように母に贈り物をせねばならず、少し気が重かった。したくないわけじゃないけど、何を送れば彼女を満足させられるのかわからなかったから。
今年も「母の日」の文字を見て、あっ、と服や花を選びかけて、そうか、この冬に亡くなったんだ、と思い出して力が抜けた。
もう、贈らなくていいとなると、もっと彼女を喜ばせたかった、なんて後悔が湧いてくる。
「旬のものを食べること」「お店でおいしかったものは家で試してみること」「お酒を飲みながら料理すること」
母は教えたつもりはないだろうけど、昼から教えを守って、母の故郷の地酒をしんみり飲む。
最後の数ヶ月はコロナの影響でほとんど会えないまま、別れてしまった。
なんか、いい娘じゃなくてごめん。
でも、ちゃんと季節ごとにスーパーで旬のものを見つけては、貴女の料理を思い出すから。
「リメンバー・ミー」というディズニーの映画の中で言ってたよ。
「その人のことを誰も思い出さなくなった時、死者は本当の死を迎える」
だから、生きてる限り。
覚えておくね。
特定名称
純米吟醸
酒の種類
無濾過 原酒
テイスト
ボディ:普通 甘辛:普通