「大正浪漫」(de きょうかい2号)
京都・伝匠月桂冠・紅熟・純米吟醸・祝米・精米歩合60%・伏水・原酒・生詰(200日ひやおろし)
・「伏見の清酒まつり2019」で発見した特定販路2,400本の限定酒。
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・いわゆる協会酵母の第1号は灘の櫻政宗だが、続く第2号は伏見の月桂冠の蔵付き酵母から明治末期の1912年に分離されたもの。当時の文献を当たると「林檎のやうな芳香を放ち」とある上質な酵母であったが、仕込み期間は長くアルコール度は高くならないおっとり型酵母だったらしい(紅熟も原酒なのに15度)。おそらくこの特性故に戦中戦後の醸造アル添、三増酒すら求められた荒んだ時代には適合せず消えてしまった幻の酵母。それが2009年から足掛け10年のプロジェクトXで冷凍酵母から復活を遂げ「紅熟」として限定生産化されたのだ。(こーゆーの好き笑)
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・さて、お猪口を近づけると、100年前に「林檎のやうな」と形容された独特の甘い果実香、古式ゆかしい優雅な芳香が漂う。ただ、よくある林檎やバナナのエステル香ではなく梅酒。もっと正確に言うなら梅酒と言うより、漬ける前の青梅の香りのような独特のフルーティ感がとても若々しくてお洒落だ
・口に含むとスポーティな甘酸っぱさで、これはもう相当に爽やかな果実酒。この風味から逆算して米と水だけから出来ていると分析するのは至難の業だと思う(笑)。ただ甘酸っぱさの後に喉に残る幾ばくかの苦味、ピリッとくる風格ある何かがこれは日本酒なのだと教えてくれる
・杯を重ねる度に鼻の奥に漂う、どこかしらハイカラな甘さと香り。これが100年前、2番目の協会酵母に選定された、明治末期から大正にかけて文化が爛熟した時代の価値観なのだろう。その時代の懐の深さと遊び心をタイムマシンのように教えてくれている!と膝を打つ。なにせ、まさに大正浪漫の旬の時期、当時の空気に流行り愛された香りなのだから
特定名称
純米吟醸
原料米
祝米
酒の種類
一回火入れ 原酒
テイスト
ボディ:重い+1 甘辛:甘い+1