この日は大きな仕事を一つやった後で、いいお酒飲むぞーと決めていた。
倍の種類を飲むために、飲み相手に声をかけておく。先に店に入り、待ち時間がもどかしくてまず一杯。
全都道府県制覇の残り、三重県を埋めるべく「而今 純米吟醸 雄町」を頼む。お店の人が気を利かせて「山田錦の而今」もサービスで飲み比べ用に入れてくれた。
いや〜おいしい〜
なんなんこのキラッキラでジューシーで幸せな味!
仕事がんばったご褒美としても、文句無しの一杯。ごめん、山田錦との区別つかないほどどっちも好き!
冷え冷えのキュンキュンな味もいいけど、ぬるんできて包容力のある旨みもいい。
「而今(じこん)」とは仏教用語で「今の一瞬」。
「過去や未来に囚われず今をただ精一杯に生きる」だそうで。ふーん、そうなんだーと感心してたら、学生の時にやたら聞いてた原由子の声が流れてきた。
やだ〜キュンキュンする〜
歌詞がつるつると口からこぼれてくる。
大好きだった歌を誰にも聴こえない小声で歌いながら、美味しいお酒を飲みつつ、会いたい人を待ってる時間っていいな。
まさに「今」、生きてる感じがする。
ただ、駅で好きな人を待っていた女子高生の初心さからは、はるか遠い。
飲み相手が現れると「十四代」とか「飛露喜」や「田酒」をあーこーだ言いながら飲み散らしてせいぜい酔っぱらってしまった。
おいしいねー
いいお酒飲み過ぎですね
どれも美味しいー
最後の方は完ぺきに緩んで、ダメな大人になってしまっていた。
今をただ精一杯に生きるには、いろんな物を背負い、知り過ぎて、悩むことが多い。そんな時、いいお酒は、頭を空っぽにしてくれる。
空っぽついでに、高校生みたいな事を言ったりしたりしたような気がする(曖昧な記憶)。
「而今」、もう少し真面目な言葉のような気がしますが、昨日も明日もどうでもよくなってしまう、ヤバいお酒でした。
また飲みたい。
特定名称
純米吟醸
原料米
雄町
酒の種類
無濾過
テイスト
ボディ:軽い+1 甘辛:甘い+1