而今***** 純米大吟醸 特等雄町35%
今年の正月酒は、昨年から毎月のように楽しませてもらえるようになった而今の特上酒を。いや酒米でいうところの最高ランク「特上」は、山田錦などの改良米では珍しくはないものの、原生種である雄町では稀有な存在。昭和26年に制度発足以来史上初めて、平成30年雄町特上が認定、翌年而今で醸されたのがまさしく唯一無二。今回は残念ながら最高ランクから2番目の「特等」止まりだったのものの、35%まで磨きあげて(そもそも雄町は高精米が難しく、40%は山形正宗や風の森であるが35%まで磨き上げているのは初めて)、昨年以上の味わいを目指したという。
上立ちは、よくある果実様の芳香ではなく、ちゃんとコメの香りとわかる馥郁たる薫香。トロンと滑らかな舌触りで、上品な甘と優しい酸が絶妙にバランスし、ふんわりとコメの風味、雄町は荒々しい野性味のある濃醇な旨味があって好きだが、これだけ滑らかなのは初めて。終盤は甘よりも酸の方がそのまま穏やかに残り、コメの風味とともに余韻を残し、キレるのではなく儚く消えてゆく。
たしかに高額商品ゆえに良いものだと思いたい心理はあるのかもしれないが、昨年の鳳凰美田の超プレミア酒と同様、別格の豊かな味わいを感じられる。ブラインドでわかるかなんていう無粋なことは考えずに、極上の時間を愉しみたい。
特定名称
純米大吟醸
原料米
雄町
テイスト
ボディ:普通 甘辛:普通