「わけわけ飲み仲間」を増やすキャンペーン、その日は女友達を誘う。
大人になって、仕事で出会って、心も許せる同性の友達は宝物だと思っている。
男と飲むと、どれだけそれが友情や仕事のパートナーシップだとしても、どこか緊張感が残る。女友達はいい。可愛げなんてものは放り出して、転げ回って笑いながらお酒が進む。
その日は、仕事の後の居酒屋で向き合う。あまり日本酒が置いてある印象のお店ではなかったので、壁に貼ってあった「純清 おりがらみ」が気になって開けてもらう。
お店の人も「これ、開けたかったんですよ〜」と嬉しそうにたっぷり注いでくれた。
少し澱があって、発酵のぷちぷち感もあっておいしい。ワカサギの天ぷらをつまみながらやめられないとまらない感じになってきたので、焼酎の水割りを飲み出した彼女に助けてもらう。
コスパのいいお店、嬉しいけれどそれほど強くなくてごめん。
仕事も酒もタフな彼女と、女の人生の本質に触れる話を織り交ぜながらくだらない話をしてめっちゃ笑う。
それでも、大好きな彼女にも言えない悩みを抱えているのが、今日は重い。
重すぎて、しっかり抱いていたはずなのにポロッと落としそうになり、慌てて抱え直した。
彼女は私がこぼしかけた涙を見逃さず、私のお酒を引き取って「人間だし、ね」と甘やかしてくれた。
仕事の愚痴の延長と思ったのか、抱えているものを察したのかわからない。
自分でも、なにが辛いのかわからない。そして彼女の弱さや痛みも、その優しい声や表情から流れ込んでくる。
好きだなぁ。
素敵なお姉さんによしよしされながらの飲み、心地よい。
注がれ過ぎた責任や悲しみが多い時は「わけわけ」するから。
また会ってね。
特定名称
純米吟醸
酒の種類
無濾過 生酒 生もと
テイスト
ボディ:軽い+1 甘辛:甘い+1