北海道を代表するリゾート地・ニセコ。自治体の名称もカタカナ表記のニセコ町ですが、酒銘は以前から漢字をあてています。酒蔵は同じ虻田郡内の北隣に位置する倶知安町にあります。広大な北海道を4つのエリアに分けると「道央」という区分に入りますが、現在のところ道内では最も南に位置する清酒蔵となっています(2021年函館に新たな酒蔵が開業する予定)。 久しく地元向けに普通酒中心の酒造りが営まれ、代表商品は「原酒」という時期が長かったのですが、近年は道産の酒造好適米3部作「吟風」「彗星」「きたしずく」を用いた純米酒をそれぞれ製品化するなど、一気に特定名称酒のラインナップが充実してきました。北海道の酒は醸造期間も貯蔵時も気温が低いため、どちらかというとあっさりとして淡白な味わいになるといわれていますが、相対的に味のある酒質が多いです。しかしながら風土を反映させた素朴な持ち味があり、名実ともに北海道を代表する地酒として、全国にも広く知られていくことを期待したいものです。 (松崎晴雄)