立ち飲み屋で出会ったお兄さんに「僕は『田光』が一番好きなんですよ〜」と言われて素直に手に入れた。
大事に取っていたけれど、飲まずに寝られない夜にポン、とフタを開けてしまった。
あー。
甘うま系って言うんでしょうか。
酸でキュンとさせることなく、ほの甘くやさしく癒してくれて、少し苦味を感じさせた後に、すっと消えていく。
甘くてやさしくて苦しくて、でも、ぬくかったな。
そんな時間を思い出してしまい、涙がぽろっと膝に落ちた。
ダメだ、さっさと酔ってしまわないと。
わかりやすい華やかさは無いけれど、穏やかに深い。
「いちばん好き」と言われるお酒なのもわかる。
ふらっと入ったお店で偶然の出会いがあって、お酒を教えてもらって、また新しい味に出会う。知らない土地に行けば、そこにしかないお酒がある。季節ごとに楽しみがある。
ちょっとした旅が終わったところなんだけど、日本酒の旅はずっと続けてしまうんだろうな。
そうだ、終着駅の伝言板に残しておかなきゃ。
「いちばん好き」と思える私を。
最後のキレイな私を。
覚えていてね。
特定名称
純米吟醸
酒の種類
無濾過生原酒
テイスト
ボディ:普通 甘辛:甘い+1