飲み相手と「やりたいことリスト」の一つ、「お燗のおいしいお店で飲む」を先日クリア。
しっとりした照明で静かな音楽が流れてるカウンター、おいしい料理とお店の人に教えてもらいながらの燗酒ふたり飲み。
あー、めっちゃいい。
大人のデート、幸せ。
いつもキッチン付きの部屋でお酒や食べ物を持ち寄って飲んでて、それはそれで気に入ってるとは言え、たまに「私って安上がりな女だな……」と凹んだりもする。
お気楽な居酒屋も好きだけど、何人かで行く方がいい。一枚板のカウンターで差しつ差されつは、好きな男の人と行きたい。
お店の人におすすめの燗酒を聞き、おいしい温度で出してもらう。「貴」は冷やしてもおいしいと聞いて、熱燗と飲み比べる。冷やすと切れ味のいいお酒が、温めると「実はお米なんですよね」とほわっとした甘さになって迫ってくる。
感じのいいお皿に盛られたお造りや、菜の花のお浸しに合う。魚の竜田揚げもおいしかった。
どれを飲んでも食べても幸せで。
最後にお店の人が燗してくれたのは「伊根満開」。夏にロックで飲んだ、赤い甘いお酒。
え、お燗で飲めるの?
ほの赤いお酒を2人で並んできゅっと飲み干す。
わ、おいしい!
ホットワインみたい。
熱いうちは濃厚で酸の刺激が強め。ぬるくなってくると、とろっと甘くなってくる。
大人の恋の味。
最初は熱く求められていたのに、1年も経つとぬるく馴染んでいく。その甘さは心地よいけれど、いつまでも浸っているわけにはいかない。
「やりたいことリスト」を一つ消化して、「思い出のお酒リスト」が増える。
その翌日、あの味が忘れられなくて酒屋に寄って「伊根満開」の4合びんを抱いて帰った。
家で一人で飲んでも、溶けるほどおいしい。徳利に入れてラップして、600wでレンチン30秒、一度出してくるくる振って10〜20秒。
熱々のズキュンな濃厚さから、とろ甘への変化が楽しい。
食事に合わせるというより、デザートがわりのナイトキャップにぴったり過ぎる。
毎晩、1日の仕上げに甘酸っぱい「伊根満開」を飲んで、思考を止めて夢も見ず深い眠りに落ちる。
寂しさを乗り越える、やさしい味方を見つけてしまった。
「好きな男の人」が「好きだった男の人」になるまで、あと少し。