酒蔵のある湖南市石部は、東海道五十三次の一つとなる宿場町。古くより往来を行く人たちに親しまれてきた。主力銘柄は「香の泉」。ふくよかな感触とやわらかな飲み口が調和した、旨口型の酒質は滋賀県産酒の特徴をよく表わしている。2018年現在「全国新酒鑑評会」では3年連続で金賞を受賞するほか、平成18年(2006年)の「南部杜氏自醸酒鑑評会」では首席(第一位)に輝いた、吟醸造りでは定評のある実力蔵である。 地元近江産米を中心とした純米造りの新しいラインアップである「唯々」は、“ただただ美味しい酒をめざした”というのが銘柄の意味するところで、限定流通の商品。こちらは全般にしっかりとした味の構成で、より落ち着いた風味が感じられる。「懐かしラベル」と銘打ったイラスト入りのシリーズは、売り上げの一部を動物愛護団体に寄付するという、ユニークな取り組みも行なっている。(松崎晴雄)