酒屋に勧められた「浅茅生 鶺鴒鳴(せきれい鳴く)特別純米無濾過生原酒」。夏にひっそりと作った限定酒だそうで。
ラベルの裏に書いてある言葉がいい。
「鶺鴒鳴(せきれいなく)は七十二候の一つ(九月十二日から十六日頃)で文字どおり鶺鴒が鳴き始めるという意味です。
鶺鴒は、黒と白の小鳥で、長い尾を上下に振る動きが特徴です。古来より『恋数え鳥』と呼ばれています。
秋空の下、鶺鴒が鳴き、だんだん人肌恋しい季節になってきます。そんな時期に間に合うように小さな当蔵で出来るだけ早く皆様に新酒をお届けしたいと思い作りました。」
確かに、先週ぐらいから空が高く、朝夕にすっと涼しくなってきた。特に誰かとくっつきながらお酒を飲むにはいい季節。
時間ができたので、久しぶりに飲み相手とお酒を持ち寄る。
町田酒造が2種類、「よこやま」のひやおろし、「高千代」の秋あがり。そしてこの「浅茅生 鶺鴒鳴」。
わ、これ美味しい
こっちも甘い
ちょっとシュワっとする
そっちも飲みたい
どれも飲みやすいけれど、少しずつ苦みや旨みに違いがあって、延々と飲み比べ続けていられる。
「浅茅生 鶺鴒鳴」は、一口目の酸っぱさが立っていて「キュン酒(ざけ)」と勝手に名付けている「酸味とぷちぷちした生まれたて感のある初恋風味」のお酒。まさに「鶺鴒(セキレイ)=恋数え鳥」の名にふさわしい。
すいすい飲めてしまうので、家で2合飲んでしまい、次に一緒に飲める日を指折り数えながら酔っていた。
やっとその日が来たのに、貴重な時間の半分ぐらいは恥ずかしがってるか、酔って意識を飛ばしてるか、眠ってるかのような気がして、いつも後から並んだ空きビンを眺めて、「あれ、夢だったんかな」と寂しくなる。
洗い物って、酔いを醒ましますね。
飲み残したお酒は、ぬるくなって、その分しっとり甘い。案外、ずっと忘れないのは「最初のキュン」より「最後の余韻」なんだろうな。ええ、洗い物ついでに飲みますよ、もちろん。
酔わないと、ひとりでなんか帰れない。
次を数え始めないと、ひとりでなんか眠れない。
秋はさびしさが加速する。
……ヤバいなぁ。
特定名称
特別純米
酒の種類
無濾過生原酒
テイスト
ボディ:軽い+1 甘辛:甘い+1