ひと仕事終えたので川中島幻舞のハーモニックエモーションを開封。今年も無事に入手しましたが、残り3本で危ういところでした。まあ、こう暑いと酒巡りもなかなか…。
美山錦と山田錦をかけたというハーモニックエモーションは幻舞のなかでは一番好み。フルーティな強めの香りにアルコール度17かつ濃厚とな味わい。ぶわーっと甘さが広がって、最後は軽くキレる。じつに美味しい。
長野の酒蔵の中でも最古の蔵元という酒千蔵野ですが、全国でも22番めに古くから残っている会社とのこと。一番古い酒蔵は茨城の須藤本家で平安時代からの超老舗ですが、酒千蔵野も1540年創業ということで、武田信玄が呑んだという逸話も。
現在の千野麻里子杜氏で18代めとのことですが、子供の頃は蔵も女人禁制で「蔵の中には昔から入れてもらえませんでしたから、小さいころは家が何の仕事をしているのかまったく分かりませんでした。造り酒屋というのは漠然と中学くらいから分かりましたけど(笑)」というものの、一人娘ということで前杜氏の元で酒造りを。
「前の杜氏は昔の方なので、教えるということはしないんですね。目で学びなさいという。今思えば、確かに難しいんですね、言葉で表現するということが。それだから感覚で覚えなければいけないものがたくさんあって。『この瞬間こうしましたけど、どうしてですか』って聞いても『そんなことは俺は知らねぇ、もろみに聞け』とか、『麹に聞け』とか言われていました。それはやっぱり香りだとか、感触だとか、目で見て学ばないといけないものだったんですね」という中、前杜氏が病になったことで後を継ぐも「杜氏になったときに、女性が杜氏っていうのを知って、『じゃあ甘いだろ』と先入観で飲まれてしまう。それを変えるのは大変だったというのはありますね。『あぁ女性が造ったからか、去年の方が辛口で美味しかった』って言われて、『去年も私が造ったんですけど』っていうときとかありましたし(笑)」と女性杜氏が珍しかった時代ならではの偏見もあったそう。
そして「伝統の味は変えません。けれど、時代のニーズにあわせて新しい味も造っていきたい」と幻舞という新銘柄が完成。現在では信州亀齢の岡崎酒造や尾澤酒造場、高天酒造、若林醸造、大塚酒造、高沢酒造と女性杜氏も増えて、抜群に酒が美味しい地域になりました、長野。
特定名称
純米大吟醸
原料米
美山錦
酒の種類
無濾過生原酒
テイスト
ボディ:普通 甘辛:甘い+1