「井筒長」を醸す黒澤酒造の、2004年スタートした昔ながらの生酛造りのブランドが「黒澤」だ。現在流行する香り高い日本酒ではなく、毎日のどんな食事にも合う酒をめざし「味わいの広がりや奥行きがありながらも、料理の邪魔をしない酒」として力を入れている。黒澤の生酛は熟成させることでさらにまろやかに美味しくなるし、熱燗をつけたときのふくらみは日本酒の原点である米の旨味を想起させてくれる。 北八ヶ岳山麗千曲川最上流、標高800mと美しい自然と綺麗な水に恵まれた高原にある酒蔵で、2005年からは酒米の自社栽培を開始するなど、立地を生かした酒造りを行なっている。山田錦での受賞がセオリーとされているなかで、平成24酒造年度全国新酒鑑評会では地元産・美山錦で金賞受賞。技術力の高さがうかがえる。2012年IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)純米吟醸・純米大吟醸の部で「黒澤 純米吟醸 無濾過生原酒」がゴールド・メダルを受賞。「黒澤 純米大吟醸」がアメリカでブレイクするなど、国内外問わず人気を博している。(関 友美)