「今年の新酒と去年の新酒の飲み比べ」を勧められ、まんまと買わされてしまった「作 新酒 純米大吟醸」。
2021の方を4合ビンで、2020の方は小ビンに詰め替えて飲み相手との部屋飲みに持ち込む。
2021、うん、出来立ては華やかさも新鮮味もあって、香りがくっきり。
2020、まぁ、味がまるく落ち着いてて、少し甘みが強く感じる。
その日もあったかい牡蠣の湯豆腐や、金目鯛の干物で飲み比べ、食中酒としてもバランスのいい「作」を楽しんだ。
楽しい時間の後には、いつも現実が押し寄せてくる。
そもそも1年前の新酒は新酒ちゃうやん、とビンに閉じ込められてた不遇な1年に同情し、丸め込まれた「作 2020」の残りを家でちびちび飲みながら、ひとり反省会をする。
大人になってから、事故にあったような出逢いがあって、不安定な関係性に振り回されて、もう心と身体がついていけない。
1週間前は、5:5で戻るか進むか、迷っていた。
5日前は、8:2でとにかく終わらなきゃと、悩んでいた。
一昨日は、3:7で何も考えずに行けるだけ行こうと、思い直した。
今日は、限りなく10:0で何もなかったことにしたい、消えてしまいたい、と思っている。
会ってる時に話して欲しかったな、ということを文字だけで雑に知らされた。それだけのことで、数日前の幸福感から突き落とされる。
無邪気な無神経って、本当にこわい。
傷ついてる方が悪い、みたいな気持ちにさせられるから。
もう、こんな激しいジェットコースターに乗っていられるほど、若くない。仕事にも障る。
1年、閉じ込められて穏やかになったお酒が、もういいんじゃない、と慰めてくれる。
ひとりで飲めるし、ひとりで遊べるし、もともとひとりだったし。
相手の嫌いなところをできるだけたくさん思い出して、お酒の力を借りて伝える。
丸め込まれるのは、もうおしまい。
今はただ。
ジェットコースターから飛び降りる勇気を、ください。
※フィクションです。念のため。2年分の新酒を飲み比べるという状況って珍しいですよね。
特定名称
純米大吟醸
酒の種類
生酒
テイスト
ボディ:軽い+1 甘辛:甘い+1