(開栓20年12月9日)
石川のお蔵。菊姫などと並び重厚な味わいのあるお酒で有名です。
『天狗舞 山廃純米』。精米60%、アルコール16度。
明らかな琥珀色。この色だけで熟成のほどが知れる。
この時期の常温、と言いたいところだが。実はカウンターの上に置いていたのでややぬるく感じる、16℃くらい?
上だちに強い熟成香。この銘柄独特の複雑な薫り、線香のような、ちょっと表現がいつも難しい。重くて重厚な香り。劣化したような、老ねた香りは無い。
以前口にしたとき、後口に苦味を感じたりしたことがあって、「この酒の本領は燗だな」と思っていたが。今回は熟成が効いた丸み、柔らかさがある。コレなら冷やでも十分味わえるなぁ。
☆☆☆★★★☆☆☆★★★
今夜は三杯酢のもずく酢。
合わせてみたが、全く負けない。ボディの太さと熟成が効いた味わいが、三杯酢の酸味を調和を伴いつつ、綺麗にリセットしてくれる。…否、リセットと云うよりも「俺のターン!」とばかりに熟成香をお見舞いしてくる。
なかなか他の純米酒ではこうはいかないと思う。実際にやってみたが、酢の刺激を純米の甘やかさが抑えてくれる。しかしその甘さが妙に残ってしまう感じ。
天狗舞の場合は後口の渋さと熟成味がキッチリ仕事していく。強いアテに対抗できる銘柄か。
苦言を申せば、やはり味の主張が強い。あっさりした白身魚などはその仄かな甘さが消し飛ぶ恐れが。そして量を過ごせば飲み疲れる予感も。
只、今回の山廃純米はとても熟成が効いていて、冷や単独で味わえる。小さなもずく酢相手に2合空けてしまった。本来チビりチビりとやるべき、濃いお酒だと思うのだが。明日大丈夫か?(笑)
明日に不安を感じつつも、少し燗をつけて、ぬる燗で。
純米ならではの芳香が拡がり申し分ないが。うー ん、ここにきて渋みが少々、押し出てきた感じがする。以前呑んでみた時と、少し印象が変わるなぁ。以前は燗で、苦手な苦味が和らいだのだった。
★★★☆☆☆☆☆☆★★★
(評)
味わいのあるお酒は個人的好みで星4。
苦味は味の深さの一部といえど、ちょっと苦手。
ただ、今回それが抑えられて熟成が効いた旨さがあった。プラス0.5
個性の強さは幾分、汎用性を欠けさせるか。マイナス0.5
星、4ですかね。
特定名称
純米
酒の種類
古酒 山廃
テイスト
ボディ:重い+1 甘辛:甘い+1